不妊手術について  
2007年4月27日UP
2013年11月10日:一般公開
2014年9月28日更新



 
 私は元々、早期の不妊&去勢手術には反対の立場をとっており、それは、このページに
 載せている2007年のブログの記事にも書いていますが、今年、2014年7月31日に
 ブログメディア dog actually に興味深い記事が載りましたのでリンクを貼っておきます。

 早期の不妊&去勢手術は、犬の長骨の発育を阻害し、成犬になってからの関節炎とも
 強い因果関係があることが証明されております。

 http://www.dogactually.net/blog/2014/07/post-561.html


 dog actually のニュース・ソース 英文

 http://news.ucdavis.edu/search/news_detail.lasso?id=10977

 http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0102241



 
 停留睾丸と去勢手術について      2014年9月28日

 ↓の2007年4月26日のメインブログの記事にも書いているのですが、オスの停留睾丸に
 ついては、手術して取り出すかどうかの判断は満1歳くらいまで待って下さい。ホルモンと骨の
 発育の因果関係もはっきりと証明されていますし、当犬舎の繁殖犬で、満1歳近くになってから
 睾丸が降りてきたオスもおります。獣医さんの中には幼い段階で何が何でも手術を薦める人も
 居るようですが、早期の去勢手術の弊害や麻酔の危険性も考慮に入れて欲しいと思います。
 当犬舎のかかりつけの動物病院の院長先生は、全ての停留睾丸が腫瘍化するわけでは
 ないので手術を急がない方が良いという考え方ですが、↓のサイトの相談を受けている
 獣医師のように犬に体力がある年齢で去勢手術をする方が安全であると薦めている人も
 居ます。

 http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000280&CatgM=16

 当犬舎の考え方としては、オスの場合もメスの場合も、満1歳まで待ってから、不妊手術や
 去勢手術に踏み切るのが、麻酔の危険性のことを考えれば、最も安全であり、子犬の長骨の
 健全な発育や老齢期の関節炎の予防の為にも、ベストの選択では無いかと思います。

 ちなみに男性の方は、人間と同じように考えて、去勢手術に拒否反応を示す方が居ますが、
 犬と人間は違います。
 去勢をしないことによって、近隣のヒート(発情)中のメスを追って家を抜け出して交通事故に
 遭うとか、ドッグランや公園で、同じく未去勢の攻撃的なオス犬に襲われやすくなる等の弊害も
 出てきます。近くにヒートが近いメスが居ると訓練に集中しにくくなるという面もあります。
 同居の犬が不妊手術をしていないメスであれば、望まない子犬が誕生する可能性もあります。
 犬は、複数のオスの子供を同時に宿すことも可能ですし、メスが大型、オスが小型であれば、
 対格差があっても受胎が可能です。大型犬のメスが横たわるので小型犬でも交尾が可能に
 なるからです。
 繫殖に使わないオス犬で、同居の不妊手術をしていないメス犬が居る場合には、満1歳を
 超してから、オスに去勢手術をすることをお薦めします。






 2007年4月26日のブログ記事より

   盲導犬や介助犬では、オスメスとも不妊手術を行うと聞いているが、その目的は、本能に
  支配されたマウンティングやマーキングなどの繁殖行動の為に、盲導犬としての行動に支障が
  出たり、集中力がそがれることを防ぐ為だと思う。また、攻撃性を抑える目的もあると思うが、
  メスはともかくオスの場合は、病気の予防が、第1目的ではないと思う。


  メスの場合は、繁殖させないのにヒートが繰り返すと、子宮蓄膿などになり易いからと
  不妊オペをすることが多い。また、産ませておかないと子宮蓄膿になるからと安易に繁殖に
  臨む素人繁殖家もいる。

   (注)ひところ流行ったチップのようなのを埋め込むメスの不妊方法は、人工的にホルモン
     調節をする為、子宮蓄膿が多発したので、現在は行っていない病院が増えているそうだ。


  でも、10歳まで毎年のように産み続けた犬で子宮蓄膿になった犬も居るし、産ませてなくても
  子宮蓄膿にならないメスも居る。子宮を取ってしまっていれば、子宮蓄膿にはならないという
  ことにはなるが、成長期の場合、ホルモン欠如による不都合が生じる場合も無いわけじゃない。

   (注)私は、個人的には、オスメスともに1歳未満の骨格形成が未完成な段階でのホルモン
     ストップ(不妊オペ)に反対である。



  オスの場合は、ブリーダーのところのオスは、去勢手術はしないものだが、コナンの場合は、
  6歳で早くに繁殖を退かせた。病気の予防が目的で去勢手術を行ったのではなくて、間違って
  ヒート中のメスに乗って子犬ができるとまずいので去勢手術をしたのである。


  オスの場合の精巣、前立腺、肛門周りの病気のなり易さと去勢との因果関係は、経験が
  コナン1回なので私には分からない。今のところ、譲渡したオスで、そういった病気になった
  という報告は受けていない。


  自分の犬舎号で繁殖を始めた最初の胎が、今年の4月で満8歳になり老齢期に入るので、
  今後、その手の病気の報告が、癌や老年性の心肥大や老年性の白内障その他の報告などと
  一緒に入ってくる可能性はゼロではない。


  メスの場合、不妊オペの相談を受けることが多いが、オス犬の場合は、あまり無いのである。
  コリーは性質が穏やかなので、1頭飼育の場合、攻撃性を押さえる為の去勢手術の必要性を
  感じる人が少ないからということだろう。


  マウンティングに関しては、子犬同士、メス同士でもよく見られ、権勢欲、自己主張の現われ
  であり、去勢をしないオスのヒート中のメスに対する執拗なものとはちょっと異なる。
  子犬の頃から一緒で仲の良い2頭飼育のオスの場合のマウンティングも遊びの延長のような
  ものだろうが、2頭の間に発情中のメスが入ると、場合によっては深刻なケンカになることもある。


  コリーの場合は、交配経験の無いオスだと、ヒート中のメスがやって来た場合でも、止めようとして
  止めれないほどのすごい勢いでマウンティングに走ることは無いが、少なからず力を要す。


  また、同じヒート中のメスでもヒートが始まってすぐや終わりかけと異なり、ヒート開始から
  11~16日目くらいの交配適期のメスだと、去勢していないオス、特に交配の経験のある
  オスは、我を忘れてメスに向かう場合もあり、性質が別人(犬)のようになることもある。


  そういう場合、リードだけで引き戻すのは難しく、首の毛と皮膚を一緒に掴んで、自分の
  身体を盾にしながら、メスから遠ざける。両手で掴まねば難しいこともある。
  人の制御が効かず、訓練して入れたコマンドも意味を持たず、“本能に支配される”というのは、
  こういうことかと感じる。子供や老人には止められない。


  発情中のメスの他に去勢していない他所のオス犬が居合わせると、そのオスが向かって
  くることがある為、コリーが、それに応戦してしまうと、御高齢の方や犬同士のケンカに
  不慣れな一般の愛犬家には制御ができないと思う。


  ヒート中のメスに遭遇した去勢していないオスが感じるストレスについては、うちのように
  一緒に暮らしているのではなく、どこかでヒート中のメスに居合わせるだけならば、どうって
  ことない。すぐに忘れてしまう。最も下らない考え方は、去勢しない愛犬がストレスを感じて
  可哀相だ1度も交尾経験が無いのは可哀相だと繁殖に使うことだ。


  ちなみにうちでは、幼い頃から一緒に育ったコナンとレックスも絶対に一緒に運動場へは
  出さない。成犬で来舎したブランディの場合などなおさらである。先日も去勢前のコナンを
  入れていた作業場内犬舎のガラスを挟んでパンチ合戦になって、大きなガラスを1枚割って
  しまった。ヒート中のメスが居なかったのにである。


  メスが居る以上、ヒートと関係なく、オスの権勢行動そのものが強くなるので、去勢しない
  オス同士は分けて管理しなければケンカの元である。去勢後も交配経験のあるオスは
  ヒート中のメスを追いかけるので、コナンとブランディは分けている。


  ただ、これはあくまでも自分のテリトリーでの話である。ドッグランや河川敷のような場所に
  コナンとブランディの2頭を放り出せば、縄張り意識が失せるので、ケンカになるかどうかは
  分からない。ショー会場などでオス同士が出会っても上手くいっているのは、それぞれの
  縄張りではないこと、ヒート中のメスが近くに居ないこと、相手のオスよりも周囲の状況の方に
  意識が行っていること等が理由だろうと思う。


  私は、今までに3ヶ所の犬舎、4つの系統からコリーを購入し、ショーやNETを通じて色々な
  情報を得てきたが、おそらく、コリーの場合、片睾丸(停留睾丸)が出ないと断言できる
  血統は、ゼロに近いと思う。だから、ショードッグとして譲渡する場合は、しっかりと
  見極めてから譲渡しなければならない。


  でも、たまに、一旦、降りていた睾丸が、再び腹部に戻る場合や生後8ヶ月頃になって
  ようやく降りてくる場合もあるそうだ。かかりつけの獣医師に聞いたら、停留睾丸の
  全てが腫瘍化するわけではないので、慌ててオペで取り除く必要は無いそうである。
  患畜数の少ない開業したての病院だと、間違いなくオペを進められるだろうが、焦る
  必要は無いのである。


  腫瘍化する傾向が見られてから手術をしたので良いということなのだが、うちでは経験が
  ないので、推測であるのだが、たぶん他の腫瘍と同じで、埋まっている位置に感じる
  膨らみが大きくなってきたとか、血液中の白血球数が増えてきたとかで分かるのだろうと
  思う。詳しくは、愛犬のかかりつけの獣医師に聞いて欲しい。


  頭蓋骨の細いコリーやシェルティは麻酔による事故死もけっこうあって、うちの凪も
  麻酔で死にかけたことがあるので、オスでもメスでも手術を受けさせる場合は、十分に
  注意してくれるように獣医さんには頼んだ方が良いと思う。


  患畜のオーナーから注文を出されて、ムッとなりそうな度量の狭い獣医師(若い男性獣医に
  多い)だと感じたら、“非常に近い血筋のコリーが麻酔で死にかけたので”とコメントを
  つけておけば良い。渋々であっても用心はしてくれるはずである。
  獣医さんに上手にかかる方法も身につけた方が、愛犬の幸せの為には望ましい。
  “ウソも方便”である。