運動(遊び) 2003年5月28日未完のままUP
最終更新日:2014年9月24日 
2013年11月10日:一般公開



 
 発育のペースが速い大型犬の子犬の飼育では、十分な運動量が必要であるとともに、関節に
 無理のない運動をさせねばなりません。人の速度で歩くだけでは、筋肉の発達はありません。



●●運動の考え方●●

 成長期に駆け足を基本とした十分な運動をさせる事は、美しい身体を作り、体力と精神力を
 つける事になる点は、人間の場合と同じです。

 

  コリーの運動適性と運動量

 コリーは、元々、体力面、精神面共に持久力を要求される牧羊犬です。成犬になれば
 のらりくらりとしていて動かないコリーが多いと聞きますが、当犬舎では、幼時より、人が
 かまってやりながらの自由運動を主体に育てているので、成犬になってからも、よく走り、
 ボールを奪い合っての鬼ごっこは中止命令を出すまで飽きずに続けます。

 長い時間の作業を継続できる犬種であると言う事は、何もさせずにいると退屈を持て余して
 イタズラを始めるということです。1日中羊を追うという長時間の運動に耐え得るコリーの
 運動としては、瞬発力を生み出す速筋よりも、持久力を生み出す遅筋を発達させる運動を
 多くさせる方が理にかなっています。

 また、コリーの特徴であり、牧羊犬としての優れた資質であるシングルトラック急旋回は、
 単純な直線運動ではなく、追いつ追われつ縦横無尽の犬仲間との自由運動によって
 培われます。自由運動可能な土や芝のスペースを確保してやり、他の犬と遊ばせたり、
 ボールの持来をさせてやれば、細身で引き締まったボディーの敏捷なコリーに育ちます。

 作業意欲と運動能力が高いコリーに、ぶらぶらさせる事、人と並んで時速4kmのゆっくり
 歩きしかさせない事は、可哀想なことです。幼時より持来を教え、自由運動での呼び戻しが
 効くように躾ければ、人が一緒にジョギングをしなくても大丈夫です。



  ペット犬とアスリート犬や繁殖用の犬との運動量の違い

 ペットとして飼われていても、非常に運動量が多く、筋肉が発達しているコリーもいますが
 それは珍しい事です。一般の家庭で、1頭飼育である場合、朝晩2回の30分程度の散歩と
 自宅の庭での軽いボール持来運動くらいが普通でしょう。そのくらいでも、健康維持には
 なりますが、鍛え込んだショードッグやスポーツドッグの運動量とは比べ物になりません。

 また、繁殖に使うメス犬は、内臓を支える筋肉が発達していないと、難産になったり、産後の
 回復が遅かったりするので、若い頃から鍛え上げておく必要があります。飼主と同じ速度の
 ぶらぶら歩きだけで育ったメス犬では、出産に耐え得るかどうか疑わしいです。狭い空間で
 飼育し、運動をさせず、ヒートの度に出産させている繁殖所の犬は消耗が激しいです。

 ただ、がむしゃらにたくさん運動をさせる方が長生きかどうかは疑問です。若い頃に激しく
 運動をした猟犬では、心肥大が起きやすいそうです。運動に伴い、活性酸素が体内に発生し
 それが遺伝子を傷付け、ガンを促進するのは人も犬も同じです。



●●年齢と運動●●

 生後50日〜120日(4ヶ月)頃まで 


 生後50日前後の子犬を遊ばせる為に使っているおもちゃ

 ワクチンが完了する生後4ヶ月頃までは、室内や自宅敷地内の庭先での運動になります。

 子犬にとっても成犬にとっても、飼主や犬仲間と何かを引っ張りっこして遊んだり、競って
 何かを追いかけたりする事は、本能にかなっていて、大きな喜びになるだけでなく、
 エネルギー発散のための良い運動になりますし、飼主との心の絆作りや躾けの前段階と
 しての効果もあります。問題行動を起こす犬の大半は運動不足による欲求不満が原因に
 なっています。

 歯の手入れにもなる左端のデンタルコットンがない場合は、長方形のタオルの両端を
 結んで(左から2番目)代用する事もできます。

 体重が5kgを超す生後50日〜60日頃になると、テニスボールサイズの柔らかい
 ゴムボールを咥えて走れるようになります。
 右端のような食べても安心な素材で作られた犬専用おもちゃを使って遊ばせるのも
 良いです。

 トイレットペーパーの芯やラップの芯などでも、子犬は嬉々として遊びます。
 
但し、食い千切れる紙製やタオル等の布製の物は、遊びが終われば必ず取り上げて
 下さい。スポンジボール等も、子犬の傍に放置しないよう気を付けて下さい。丸呑み
 できる小さいボール、金具やボタンが外れる恐れのあるぬいぐるみも誤飲による腸閉塞
 (開腹手術が必要)の恐れがあるので、必ず片付けて下さい。
 紐を縫い付けている物は、初めから取り除いておいた方が安全です。



 生後72日のノエル。2回目の混合ワクチンはまだでしたが、締め切りで、他犬の入って来れない場所なので、屋外で
 運動をさせました。人が走れば後を追って走ります。



 基本的には自宅の敷地外へ連れ出しての屋外運動は、3回目の混合ワクチン(または、
 3回目のみパルボ単体ワクチン)が完了して10日程度経過してからになります。


 特別な場合として、自分または知人の私有地で他犬が入り込めないのが確実で、車に
 轢かれる心配のない場所があれば、人が遊び相手をしてやりながらの自由運動が
 可能です。この時期、公共の場所や、ドッグランへ連れ出すには、まだ早過ぎます。
 感染症対策の面からも止めた方が安心です。



 犬舎の運動場で。1歳のマイヤと生後3ヶ月のメガ。互いのボールを見せびらかしながら、鬼ごっこをします。


 子犬にとって最も理想的な遊び(運動)相手は同胎犬で、その次に望ましいのが
 2〜3ヶ月違いくらいの子犬です。ですが、同胎2頭を同時飼育できるのは、ブリーダー
 くらいです。

 なぜ、同胎の子犬が良いかと言うと、どんなに激しくじゃれて運動しても、相手に怪我を
 させる恐れがほとんど無いからです。また、子犬は寝ている時と食べている時以外は、
 朝から晩まで遊びたがりますが、2歳をとうに過ぎた犬は、そんなに長い時間、子犬を
 かまってやる事は、苦痛になってくるので、時々引き離して休ませてやらねばなりません。
 2歳未満の成犬コリーだと、精神面で無邪気さが残っているので、子犬の遊び相手を
 長時間でも嫌がらずに勤めてくれます。

 でも、活力に溢れた年頃だけに、ともすると扱いが荒っぽくなって、子犬に怪我をさせる
 場合があるので、子犬が生後8ヶ月になる頃までは、人が傍に付いて見ていなければ
 なりません。

 


 道路へ飛び出す心配のない場所で。1歳過ぎのノエルと生後4ヶ月頃のサリー。成犬にとっても、遊び相手として
 十分に通用するほど逞しくなりました。


 私は、ショーを始めた時に「合わせ犬として、歳の差が1歳以内のコリーがいると良い」と
 ブリーダーに言われましたが、最初は、2頭を育てる自信がありませんでした。
 でも、1頭で退屈を持て余している生後10ヶ月のノエルを見ていて、2頭目を飼う決心を
 しました。
 もちろん、もう少しドッグ・ショーに向いた子が欲しかったのも理由の1つですが、
 迎え入れてみて、本当に良かったと思いました。
 ノエルが、緊張して子犬を拒絶していたのは、ほんの数日で、その後は、何をするのも
 一緒の1歳違いの仲良し姉妹でした。

 子犬のサリーがオシッコをすると、早く片付けろと姉のノエルが吠えて私を呼びました。
 また、私が生後4ヶ月のサリーを叱っていると、ノエルがそっと身を伏せ、耳を倒して、
 すまなそうな顔をしながら、私とサリーの間に入ってきて、子犬のサリーを私から隠す
 ようにしてかばいました。

 2頭の情緒面の発達の面で好ましかっただけでなく、暇つぶしの家具等のイタズラ噛みも
 減りました。1頭の時には、人が働きかけても運動をしようとしなかった姉のノエルが、
 ↑の画像のようにサリーを先導して活発に走るようになりました。
 子犬のサリーが筋肉質なボディのショードッグに育ったのは言うまでもありません。



 生後4ヶ月直前のレックスと8歳直前のミリオン。


 当犬舎では、ショーに出す子も出さない子も同じようなショー用の運動管理をしています。

 幼い頃より、遊び仲間のコリーや持来に使うおもちゃをとっかえひっかえしながら、とにかく
 脚を痛めるギリギリのところまで、思いっ切り全身を使って子犬が走るように、お膳立てを
 するのです。
 お膳立てと言うのは、例えば犬舎の運動場を平坦にせず、わざと小さな山や障害物を
 作ってやるとか、咬むと音の鳴るおもちゃを与えて、奪い合いをさせるなどです。犬が
 走りたくなる時間帯を選ぶのも大切です。

 (注)食後数時間は胃捻転予防の為、走らせないようにして下さい。

 この時期の子犬には、自転車やバイクでの引き運動は好ましくありません。直線運動
 だけでは、身体のすべての部位の筋肉が十分に発達しませんし、運動過多で脚を
 痛めたり、不正速足である側対歩を誘発してしまう恐れもあるからです。

 月齢の近いコリーの子犬同士の全力疾走での鬼ごっこが、最も身体作りに適しています。
 アメリカやカナダのブリーダーのように広大な牧場並みの土地があるわけではないので、
 普段は、50坪程度の土の運動場で走らせていますが、時々、車で出かけ、安全で
 人気のないサッカーグラウンドで走らせたりもしますし、犬舎近くの砂浜に連れ出すことも
 あります。ドッグショーに出す犬には、走り回れる場所と一緒に走ってくれる犬は必需品の
 ようなものです。

 



 生後120日(4ヶ月)〜生後6ヶ月頃まで 


 ↑は、2回の混合ワクチンが済んでから屋外で運動中の生後5ヶ月前のかれんちゃん(長野在)とミニチュアダックスの
 成犬のチョコラちゃん。安全の為、ロングリードで運動させています。


 子犬は「呼び戻し」が完全ではありません。普段は、すぐに戻ってくる子でも、屋外では
 好奇心に負けて危険な方向へ飛び出すことがあります

 この時期の子犬を、子供でも扱える大きさだと考え、
小中学生に任せる事は絶対に
 しないようにして下さい。

 大型犬の子犬は力がありますし、人間の子供は、自分の遊びに夢中になると、子犬に
 集中できなくなりますので、必ず、大人が同行して下さい。

 友人宅のケースですが、浜辺で遊んでいる時、小中学生の子供達に子犬を任せて
 道路を渡って缶ジュースを買いに行き、戻ろうとした瞬間に、飼主の姿を見つけた
 子犬が、抱いていた中2の男の子の手をすり抜けて道路へ飛び出し、車に轢かれて
 即死しました。
 一瞬の油断から起きた事故で、不可抗力であったとしても、子犬を任されていた子供の
 心には傷が残ります。子供に心の重荷を背負わせない為にも、大人がしっかり管理を
 して下さい。この時期の子犬の動きは唐突で、犬に不慣れな人には予測不能です。
 くれぐれも油断をしないよう見守って下さい。

 また、
自宅近くの道路ほど、飼主の油断が生じやすく、大事故にも繋がりますので
 注意して下さい。子犬自身の身の安全だけでなく、子犬が道路へ飛び出し、走行中の
 バイクや自転車の人にぶつかり
人身事故になった場合、飼主は責任を問われますので、
 お気をつけ下さい。



 生後5ヶ月になったばかりのレックスと、初めて出会った小学生の女の子(右端のペア)。ボール遊びをしています。


 
安全な運動場所としてドッグランを利用するのも良いでしょう。他の犬や人間の迷惑に
 ならないように、呼び戻しやボール持来の訓練(室内ででもできます)を自宅で行っておく
 方が良いです。

 無理に他の犬達と鬼ごっこなどをさせる必要はありませんが、自分から攻撃的な態度に
 出る(コリーでは滅多にないです)ことがないように気をつけて下さい。



 生後6ヶ月前のサリーと1歳半のノエル。もう成犬とも、ほぼ互角に運動できるようになりました。



 子犬を大きな犬と遊ばせる場合は、思わぬ事で大怪我をする場合があるので、
大きな犬の
 動作が子犬にとって危険だと判断した場合には、すぐに割って入って止めて下さい。

 当犬舎では、ミリオンが生後5ヶ月の頃、子犬の面倒見の良い、30kgの肥満傾向のメスに
 子守りを任せていました。ミリオンのギャンという声がして振り返ったら、立てずに座り込み、
 慌てた様子をしていたので、そっと後肢を触ってみると、案の定、ブラブラ状態で、骨折を
 していました。即日、手術になりました。
 子守り好きで合っても、扱いが荒っぽい成犬の場合は、飼主さんは、気を抜かないように
 監視しなければなりません。


 ◆当犬舎の近くにできたドッグラン(西日本最大のスペースだとか)での動画。
  10歳2ヶ月の老犬のブランディと生後10ヶ月過ぎのじぇじぇとで出かけたの
  ですが、貸切状態でした。 
                                       2014年4月12日撮影

 


  (注)ドッグランにはマナー知らずの飼主や犬も入ってくるので、咬傷事件に御注意下さい。

    襲ってきた犬の攻撃をかわす方法としては、
    襲ってきた犬の頭に服などの布を被せる方法
    首や耳を掴んで引き離す方法(襲ってきた犬の大きさによっては不可能、手袋着用)、
    腹部を蹴り上げる方法
    ドッグフード等の食べ物を襲ってきた犬の顔に投げつけて気をそらす方法
(興奮が
    最高潮の状態では効かないかもしれません)等があります。

    大きな犬に首を噛まれて、頭を振られれば、牙が急所の喉や頸動脈に食い込み、
    御愛犬の命に関わりますので
、捨て身で守って下さい。
    当犬舎繁殖犬でも何頭もノーリードの大型犬や中型犬に襲われた子がいます。

    おとなしい性質の未去勢のオスが最も襲われやすいので、ラフコリーのオスを
    飼っている方は特に御用心願います。


    また、不妊手術をしていないメスはヒート(発情)が始まる1〜2ヶ月前からオスを
    刺激する匂いを発しますので(人間には分かりません)、その匂いが犬の喧嘩の
    誘い水になることが多いので
、不妊手術をしていないメス犬のオーナーさんは
    日頃からヒートの周期について気を配って下さい。





 生後6ヶ月〜12ヶ月(1歳)頃まで 


 誰もいない猪苗代湖の湖畔。生後8ヶ月時の殿君(福島在)。新雪の中を走らせると、コリーの毛には雪がお団子状に
 くっつくので、自由運動の後のケアが大変です。犬は広い所へ出すとテンションが上がり、喜びに満ち溢れた表情をします。


 生後10ヶ月頃になると体高も成犬並みになるので、犬嫌いの人には大きな恐怖心を
 与えます。
 活力があり、興奮を上手くコントロールできるほどには中身が成熟していない為、たとえ
 相手が犬好きの人であっても、お年寄りや幼児である場合には、飛びついて転ばせて
 怪我をさせないようにしなければなりません。

 ノーリードで運動ができる安全な場所であっても、
突然、他人が入ってくる場合を頭に
 入れておいて
下さい。いつでも呼び戻せるように日頃の呼び戻しの訓練を怠らず、リードや
 御褒美用のえさも携帯して下さい。
 便の始末の為のナイロン袋や、下痢の時の便がアスファルトに付着した場合に拭い取る
 為のティッシュ等も持参した方が良いです。

 性成熟が近づくので、他犬の臭いへの感心も高まります。
他の犬の便を食べたり、
 オシッコを舐めたりしないよう
気を付けて下さい。排泄物を介した伝染病は多いです。
 また、食べないけれども、他の動物の排泄物や腐った物の上に身体をこすり付けるのが
 大好きな犬もいますので、犬がうつむいたら、すぐに傍へ行って、確認しましょう。



 投げる人間の技術が稚拙だと、能力のある犬でも上手くキャッチできません。あらぬ方向へ飛んで行ったフリスビーを
 追いかける1歳の凪。囲いのある安全な空き地にて。


 犬を戸外へ運動に連れ出す際は、犬の足元に落ちている危険物(ガラス、金属、タバコの
 吸殻、農村地帯では農薬、水辺では釣り針)
を、犬が踏まないように気を配らねばなりません。
 危険物ではありませんが、チューインガムも踏まないように気をつけましょう。

 外出中は、常に犬の口元、足元に注意を向けておきます。うつむけば何かを拾い食い
 しているのではないか、突然走り出せば、何かを踏んだのではないかと考えるのです。
 暑い時期の運動では、素足で、頭が人より低い位置(高温)にある犬の身になって考えて
 やり、熱中症にならないようにしてやらねばなりません。熱中症に対する注意は「医療」の
 ページにも載せています。

 また、岩場の隙間や排水溝の穴に足を突っ込み抜けなくなる事も起こります。そうした時、
 動物はパニックでもがいて、余計に怪我をひどくします。
 飼主さんは、
優しく声をかけ、落ち着かせながら、 犬の関節部に痛みが出ないような
 姿勢をとらせ
、そっと突っ込んだ足や指を抜いて下さい。
 飼主が慌てると、犬も不安でジタバタしますので落ち着いて対処して下さい。


 安全な場所での自由運動が不可能な場合や、遊び相手の犬がいなくて走ろうとしない
 場合には自転車での引き運動も必要になってきます。

 骨格が出来上がらないうちから自転車で強制運動をすることは望ましくありませんが、
 適応力旺盛な生後6ヶ月から1歳にかけての時期に、リードを引っ張らずに自転車と
 併走する事に慣らしておく事は非常に有益です。

 (注)但し、ショー・ドッグやアスリート・ドッグの鍛錬の為の本格的な自転車運動は、
   1歳まで待った方が良いです。

 但し、道路交通法での規制もあり、自転車での引き運動が無理な場所があります。
 海岸沿い、農道、河川敷等、自転車運動が可能な場所を探してみて下さい。

 安全の為、リードを付けての歩行が確実にできるようになってから自転車運動を
 始めます。最初は、犬を自分の左側につけて、自転車を押しながら歩きます。
 褒めながら行って下さい。犬が落ち着いている様子なら、ちょっとだけ乗って走って
 みます。少しでも伴走できたら、よく褒めます。歩いて、乗って、歩いて、乗ってを
 繰り返してゆけば、すぐ理解します。

 注意すべきは、犬が自転車に寄り過ぎ、身体の一部を
車輪に巻き込まれる事と、
 逆に離れ過ぎて、身体を自転車から遠ざけようとして身体が斜めになる「横引き」を
 する癖がつく事です。

 また、急に運動量を増やすと、未成犬の場合、関節や腱を痛めたり、楽をする為に
 不正歩様の側体歩(アンブルまたはペーシング)を踏む習慣がついてしまうことが
 あるので、
身体が出来上がる1歳までは長い時間、長い距離、坂道、アスファルト面での
 自転車運動は止めておいた方が良いです。




 1歳〜4歳頃まで 


 ボールが手を離れる瞬間を待ち構えています。千(トライ)は見切り発車をしようとしています。


 競ってボールを追いかける3歳過ぎの千と7歳過ぎのミリオン。左上に小さく青いボールが写っています。
 
 ↑の画像を撮影した時は、トライのメス、千が3歳、ブルーマールのメス、ミリオンが7歳です。
 若い頃より走り込んできた犬なら、7歳過ぎでも十分に若い犬と一緒に運動ができます。




 全力疾走の千。体力充実の3歳時の撮影です。
 

 ショー用に幼時から身体を鍛えた犬と、そうではない犬とでは違いがありますが、一般に
 2歳から3歳にかけてが、体力的には最も充実しているような気がします。瞬発力と
 持久力に優れて、好奇心もまだ乏しくなっていないので、おもちゃや運動場所を適度に
 変化させてやると、長い時間飽きずに運動します。


 ◆自転車での引き運動用の器具◆
 
 当犬舎では、左手にリードを持つため、後輪のブレーキが使えないので右手でブレーキを
 小刻みにかける方法で引き運動をさせていますが、両手をハンドルから離さずに引き運動を
 させることができる便利グッズもあります。

 サイクルリーシュ

 サイクルリーシ(自転車に取り付けて犬と走る器具)



 
 ◆トレッドミル(ルームランナー)◆

 ドッグショーのプロハンドラーや訓練士やトレーナーでも雨天時などに利用している人が
 多いです。
 当犬舎には雨天用の30坪程度の屋根付きの運動場があるので、購入していませんが、
 なかなか動こうとしない中高年の犬の為には、あった方が良いなと思います。問題は、
 室内にこの大きな器具を置くスペースが無いことです。
 1頭飼育で、経済的に余裕があり、スペース的にも余裕のあるお宅にはお奨めです。
 あまり安価な物は安全性の面で不安もあり、犬の大きさにあった十分な長さのある物で
 ないと犬の身体に負担をかけることになります。また、ある程度の重量のある物でないと
 機械がガタガタと動くことになります。

 (注)日本で販売されているルームランナー(トレッドミル)には時速12km以下という
    速度制限がありますので、駆足には対応していません。ラフコリーの駆足の速度は
    時速40km以上になることもあります。


 大型犬用のトレッドミル(対象犬種:ラフコリー、ゴールデン・レトリバー、シェパード等)

 ペットラン PR-720E [大型犬用運動器]全長1m70cm dog treadmill

 中小型犬用のトレッドミル(対象犬種:シェルティ、コーギー、ダックス、柴犬等)

 ペットラン PR-710F [小・中型犬用運動器]全長1m56cm dog treadmill



 ●海外ではソリ引き犬達でよく利用されているウィール形のトレッドミルの動画です。
  犬自身が好んで乗っているのが分かります。このタイプは犬の最高速度での駆足に
  対応しているので、ソリ引き犬のトレーニングに多用されているのだろうと思います。

  


  ●こちらもハスキー犬です。

  


 ●子犬とトレッドミル 子犬は興味を持つようです。上手に慣らせば、大好きになるのじゃ
  ないかと思います。

 


 ●面白いトレッドミルです。

 


 ●欧米で販売されている色々なトレッドミルです

 





 
 犬の歩様:コリーの基本的な歩様は、次の4つです。

 ●常歩(ウォーク):並足と表記されることあり。
  各脚が1本ずつ交互に動きます。最も、ゆっくりした歩様で、その動く順番は、
  右前肢、左後肢、左前肢、右後肢です。

 ●速歩(トロット)
  右前肢と左後肢が同時に着地後、左前肢と右後肢が同時に着地します。
  ドッグ・ショーではトロットで美醜を審査されます。

 (注)速足の特殊なものとして側対歩(PACING)というのがあります。
  先天的に側対歩を踏む犬種もいますが、ほとんどの犬種において不正な歩様と
  されます。犬が人の遅いペースに合わせることを強要された場合や、疲労した時に
  この歩様が現れます。


  コリーは狼のようにシングルトラック(単軌歩、または単線歩様)速足を踏む、
  数少ない犬種です。高速の速足での4本の足の着地した跡が、1本の腺になるので、
  こう呼ばれます。
  シングルトラックと、もう1つのコリーの歩様の特徴である、後肢を軸にした急旋回
  能力の為、コリーには、非常に敏捷な動きが可能です。
  直線ならばコリーよりも速い犬種と鬼ごっこをしたとしても、縦横無尽に走れる場所で
  あるならば、右に左に逃げ回り、捕まらないのです。牧羊犬として働く為に有利な
  身体的特徴です。
   


 (注)馬のように2種の駆足を区別せず、2つ合わせて駆足(ギャロップ)と表現される
   場合があります。
 ●駆け足(キャンター):ギャロップのゆっくりしたもの。3拍子の歩様です。
 ●襲歩(ギャロップ):4本の脚の連続動作の1回ごとに、4本すべてが同時に宙に浮く
  瞬間がある、最も速い歩様です。ドッグレースの犬や競馬の馬の歩様です。



 ■並足(常歩:WALK)時と速足(TROT)時の犬の筋肉と骨格の動きが分かる動画。

 

 
 
 ■速足(TROT)時と駆足(GALLOP)時の犬の筋肉と骨格の動きが分かる動画。

 

 
 ■常歩(WALK)、速足(TROT)、駆足(GALLOP)時の犬の骨格の動きが分かる動画。

 
 


 
 ■駆足(GALLOP)、常歩(WALK)、速足(TROT)時の犬の骨格の動きが分かる動画

 







 4歳〜7歳頃まで  注意するべき事
動きたがらない犬の場合



活発な犬の場合

遊び相手が若いと若返る



 7歳頃〜足腰が弱くなるまで  注意するべき事


 7歳からはシルバーエイジですが、それでも広い場所へ
 出すと、日頃は活発でない犬でも、喜んで走ります。
 普段からスポーツウーマンの凪(左)と普段はのんびり
 過ごしているヒューイ(右)。凪は8歳になったばかり。
 ヒューイは8歳半。


 老年性心臓肥大が起きている
 場合



 足腰が弱ってから  注意するべき事
内臓の病気がある場合
関節などが痛んでいる場合



●●特別な場合の運動●●

 真夏の屋外 注意するべき事


 ↑は、5歳時のノエル。自宅から3分で行ける浜辺にて。
 日射病が怖いので、この後、すぐに連れ帰りました。
 水に慣れると、暑い時は、自分から水の中へ入って行き、
 お腹まで浸かって涼みます。泳ぎの上手な犬は、自分から
 泳ごうとしますが、コリーは、レトリバー系の犬ほど泳ぎは
 上手くありません。

 真夏に海辺に出す時は、早朝または夕方6時過ぎが
 望ましいです。お昼前後の日差しの強い時間帯に人間と
 一緒に泳がせたい場合は、
ほんの短い時間(5〜10分)に
 しておきます。

 (備考)犬は、8月の炎天下でも、自発的に直射日光の
 当たる場所へ出て行き、毛を干すかのように、どたっと
 5、6分の間、横になる場合があります。理由はよく分かり
 ませんが、日光に当たる事で、体内でのビタミンDの活性を
 促す作用があり、それを本能的に自覚しているせいかも
 しれません。ただし、だからといって、人間が強制的に
 炎天下へ出すことは、非常な危険を伴いますので、
 お止め下さい。


 夏の屋外での運動、特に海辺での運動には
 特別の注意が必要です。
 熱中症(熱射病&日射病の総称)で、飼主が
 異変に気づいた数十分後に、手遅れで亡くなる
 場合がありますので、御用心下さい。
 必ず、すぐ日陰やエアコンの効いた車へ入れて
 やれる環境で、たっぷりの飲み水も用意した上で
 犬とのアウトドアライフを楽しんで下さい。

 もし、犬の呼吸が荒くなる、大量のよだれを
 出す、口から泡を吹く、舌が力なく垂れ下がる、
 舌が紫色になる等の症状が見られたら、
 
大急ぎで、全身に水をかけたり、水を飲ませ
 たり、水で冷やしたタオルを頭に当てる等の
 応急処置をしながら病院へ直行して下さい。
 病院へ行く前に、TEL連絡をしておき、到着後
 すぐに処置をしてもらえるようにしておく事です。

 脳障害が残るかもしれませんが、助かる場合も
 ないわけではありません。

 犬には、人間のような発汗による優れた体温
 調節能力がないので、暑さは命取りです。
 くれぐれも自分達の遊びに夢中で犬の存在を
 忘れる事がないように御注意願います。

    ★参照ページ:「医療」の中の熱中症

 海や川ともに、マナー知らずの釣り人が捨てた
 
釣り針が落ちている事があり、それで、犬が
 怪我をする場合も多いです。海の場合、
フグを
 磯に放置する
人もいます。乾燥しても、毒は
 消えませんので、犬が口にしないように用心を
 しなければなりません。

 また、レジャー施設のどこでも言える事ですが、
 落ちたタバコの吸殻を食べると、ニコチン中毒に
 なりますので、お気をつけ下さい。
 
ニコチン中毒の場合は、水を飲ませない方が
 良いそうですので
、もし、誤飲した場合は、すぐ
 獣医師に御相談になって下さい。

 犬連れの真夏の旅行はお奨めしませんが、
 どうしても出かけねばならない時は、目的地の
 近くの病院2ヶ所くらいの連絡先を調べておくと
 良いでしょう。

 海や川で泳がせた後は、シャンプーをしてから
 完全に乾かさないと毛が痛みます。
 (注)真夏であっても、日光だけで乾かそうと
 してはいけません。指の間、脇、耳、胸など、
 細い毛が密集した部分が、湿気でむれて湿疹に
 なりやすいからです。



 ヒートや出産の前後 注意するべき事


 ヒート中のメスやそれを求めるオスの行動は普段の行動
 からは予想もつかないほど執念深いものです。また、
 メスが大型犬で、オスが小型犬の場合は、体格差が
 あっても、メスが横たわったままで、オスを受け入れるので、
 交尾可能です。不妊手術をしていないメスをお持ちの方は、
 油断なきように管理して下さい。
 


 トップヒート(初潮)の前より、メスの陰部より
 分泌液が出るようになり、中には雑菌の為、
 膣炎を起こす生後7、8ヶ月齢の犬もいます。

 また、産前産後の母犬も雑菌に感染しやすく、
 子宮内膜炎を起こしたりする場合もあるので、
 多くの犬の出入りする場所で地面で座り込む
 とか寝転ぶなどの行為は控えさせた方が良い
 でしょう。

 ヒートの初日から数えて10日目くらいからは
 周辺のオス犬の反応も激しくなり、脱走して
 追いかけてきたり、野犬だとオスが集団で後を
 追って来たりもします。ヒート開始より10日目
 から16日目までは、ぶらぶらと歩き回るのは
 控えて、さっと出てさっと帰る方が良いです。

 散歩中にオシッコの回数が増えますが、これは
 近隣のオス犬達に、「私の家は○○です。」と
 名刺を配って歩いているようなものですから、
 しっかりと自宅のケージ内でヒート中のメスを
 管理できない飼主さんは、極力、散歩は控えた
 方が良いです。

 



 病気、怪我、手術の前後 注意するべき事

 手術や怪我の時

 病中病後




 ラフコリー専門ブリーダー
AIRWOMAN COLLIES
http://airwoman.if.tv/
 




  トップページ」へ