コリー(正式犬種名はラフ・コリー)の特徴 | 2010年3月1日更新 |
今や滅多に実物を見ることができなくなったコリー(ラフコリー)です。 1年間に生まれる頭数は、人気大型犬種のゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーの 7000頭前後という数に対して、コリーはわずかに700頭前後です。 昭和30年代前半の犬の飼育情報が乏しく、飼育経験が無い人々がほとんどの時代に コリーのブームが起きました。「名犬ラッシー」の映画的に過度に誇張した賢さを真に受け、 しつけをしないでも、コリーならラッシーのように何でもできると誤解した人が多かったので、 間違った飼い方をされました。吠えて異変を知らせる牧羊犬グループの犬であるにも関わらず、 住宅地で夜間に庭に出しっ放し、留守がちな家なのに四六時中、庭に放しっ放し、そして 「吠えて困る犬」というレッテルをコリーは貼られてしまいました。 その後、日本の住宅事情から、外見が似ている(性質はかなり異なります)シェルティが 台頭し、反比例するようにコリーの飼育頭数が激減したのです。コリーは広い庭に1頭で 放し飼いにされるより、6畳間で飼主さんと寄り添って暮らす方を好む犬です。朝晩、十分な 運動をしてやれば、ワンルームマンションで飼える犬です(但し、留守がちだと、警戒して 吠える声が問題になります)。ですから、住宅事情によって犬のサイズを選ぶのは オカシイのじゃないかなと思っています。金切り声をあげる小型犬の方が、住宅地では 問題になるだろうと思います。 私は、擬人化した「ラッシー」ではなく、ラッシーを素晴らしく演じたハリウッドの俳優犬が ラフコリーという犬種であったこと、ラフコリーの優雅な容姿や知性や情感が無ければ、 ラッシーの役は務まらなかったことをコリーのブリーダーとして誇りに思っています。 コリーよりも賢い犬種、コリーよりも運動能力の高い犬種、コリーよりも優雅な犬種、 コリーよりも穏やかな犬種は他にもあります。 ですが、全てを総合して見た時に、家族を守れる番犬、兼、伴侶犬として、この犬種の 右に出るものはないと思います。 唯一、欠点として、薬物に過敏であることが挙げられますが、ちょっとした注意で事故は 防げます。 コリー(ラフコリー)は、家庭犬として本当に優れた犬です。驚くほど人の心を読むのに長けた 情緒豊かで賢い犬です。そのコリーの特徴を生かすような新生児飼育を行ってきました。 仲介者を通さず、一般の御家庭に譲渡してきたコリーは200頭を越します。その経験から、 コリー(ラフコリー)が、あなたの御家庭に幸せをもたらし、あなたの人生を豊かにすることを ラフコリー専門のブリーダーとして保証致します。 ↓の一覧表にコリーの特徴をまとめてみましたので御覧になって下さい。 ラフコリー(JKC犬籍)専門 エアウーマン犬舎 |
左:あかり(セーブル) 中央:レックス(ブルー・マール) 右:リズ(トライカラー) |
■■コリーの身体的特徴■■ |
顔 | 端正で気品があり、知性と温和な性質を感じさせる柔和な表情をしています。 セーブル(茶系)やトライ(黒系)のコリーの目の色は暗色(こげ茶)が多いですが、 明るい茶色の子もいます。 セーブル・マールもブルーマールの因子を持つので、青い目になる事があります。 青い目の視力は茶褐色の目と同じです。 |
ボディ | 豊かな被毛の為、大きく見られがちですが、実際は細く引き締まっていて、女性でも 楽に抱きかかえることができる重さです。 |
四肢 | ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーほど骨太ではありませんが、 牧羊犬グループの犬の敏捷な動きを支えるだけの強靭さはあります。 |
体高 (地面から肩) |
オス:55〜65cm、メス:50〜60cmがスタンダード(標準)ですが、 当犬舎の繁殖犬の場合は、オスは63cm前後、メスは58cm前後が多いです。 よく見かけるゴールデン・レトリバーと比較すれば、体高はコリーの方が やや高い場合が多いのですが、体重は5kgくらいはコリーの方が軽いです。 |
体重 | オス:24〜32kgくらい、メス:18〜26kgくらい。(肥満させていない場合) 当犬舎所有犬の場合は、オスは27kg前後、メスは22kg前後が多いです。 |
毛量と毛質 | 長い上毛(オーバーコート)と密な下毛(アンダーコート)が生えている。 上毛は粗い光沢のある直毛で、下毛は柔らかく密であるのが望ましいです。 ブルーマールは他の体色のものより、毛が細いです。下毛には光沢はなく、 頭部と脚は短毛ですが、前肢後肢とも、後ろ側は長いです。 首周りの飾り毛(俗に、この部分の白い毛を“襟”という意味の“カラー”と 言います)や、胸の毛(エプロンと言います)や腰周りの毛は特に長く、耳の 周りの毛は細くて、もつれやすく光沢はありません。 ★俗にフルカラーというのは、首周りの白い毛が途切れずに1周している フルホワイトカラーの事を指します。 |
毛色 | セーブル(JKCの血統書の表示は、セーブル&ホワイト)、トライカラー(トライと 簡単に記す場合が多いです。JKCの血統書の表示は、ブラック、ホワイト&タン)、 ブルー・マール、ホワイト(当犬舎は扱っておりません)、特殊なものとして セーブル・マール(ブルーマールの因子を持つセーブル)があります。 (注)幼犬は、成犬より体色は薄いです。 不勉強な人が遺伝子と体色の関係を知らずにマール因子がある犬同士を かけてダブル・マール(ホワイト・マールとも言います)という欠陥のある犬を 産ませるケースが、シェルティ等で、ごく稀に起きていますが、セーブル・マールや ブルー・マールは、マールという名前が付いていても極めて健康体です。 但し、セーブルマールはトライとしか交配ができず、ブルーマールは、マール因子を 持つセーブル・マールやブルー・マールとは交配しません。理由は先天的疾患を 持った子が生まれるからです。 |
体臭 | 一般に長毛種は短毛種より、体臭は薄いです。コリーは特に体臭が薄いです。 加齢や食事の油脂量や体質によって中年以降に少し匂いがきつくなる場合が ありますが、他犬種ほどではないです。 |
よだれ | コリーのような頭部の細長い犬種は、よだれは非常に少ないです。 |
声 | 頭蓋骨が細長い為、大きい声ですが、シェルティや小型犬種のように甲高くは ありません。吠えて異変を知らせるタイプの牧羊犬ですから、声はよく通ります。 |
左:ミリオン(ブルー・マール)右:千(トライカラー) |
■■コリーの内面的特徴■■ |
全般的性質 | 明るく、社交的です。人が大好きで、従順です。独立心があり、自分の判断で 動く事があります。人の感情の動きに特別に敏感で、全犬種の中でもトップ クラスです。それゆえ、飼主の意図を先読みして行動を起こす場合があります。 |
活動性 | 落ち着いた雰囲気があり、動作がおっとりと優雅ですが、屋外では非常に 活動的で、時折テンションが、ぐっと上がる事があります。遊びが大好きです。 |
子供に対して | 幼児に対してとても忍耐強く、また保護本能も強く、成犬になると非常に 有能なベビーシッターとなります。 |
他の動物に対して | どの動物とでも仲良くなれる素質があります。先住犬とも上手くやれますし、 後から迎え入れた子犬の面倒もよくみてくれます。 |
室内飼育に向くか | トイレの躾けをきちんとすれば大丈夫です。但し、戸外での十分な運動が 必要です。若い犬は、人間のペースで4〜5km歩いただけでは不十分です。 ボール持来や生後10ヶ月以降の自転車での引き運動等を取り入れる 必要があります。 |
警戒心 | 生後4〜5ヶ月頃から警戒心が出てきます。元々が羊を外敵から守る 牧羊犬ですので、不審な物音や人物には反応して吠えて知らせます。それを 無駄吠えとは、とらないで欲しいです。夜間や留守中は屋内で家族と共に 過ごさせるようにすれば、近隣からのクレームは出ません。 |
攻撃性 | ほとんどありません。警戒心が強くて番犬として優秀な犬種は、攻撃性も 強い場合がほとんどなのですが、コリーは、“警戒しながらも攻撃しない” という珍しい犬です。USAのコリー専門誌には人間の子供を守る為に、 襲ってきた牛や豚と戦った勇敢なコリーの話が数編出ていましたので、 守るべきものを守るためには勇気を持って戦える犬だということです。 |
訓練性能 | 非常に理解力があり、人間好きで従順なので、教えた事はすぐ覚えます。 但し、1度痛い目に会ったり嫌な思いをすると、2度とやろうとせずに、避けて 通ろうとする場合が多いです。 また、人間の行動を先読みして、命じられた内容が分かっていても、人が 手助けしてくれると予測して、自分ではやろうとしない場合(飛び降りろと 命じたのに、自力で降りれるくせに、人が手助けするまで待っている等)が あります。 その為、シェパードのような積極性が強い犬しか扱った事のない訓練士に コリーの訓練を頼むと、良い評価を得られない場合があります。知能が 劣っているわけではなく、性質的なものなのですが・・・ でも、たまに、何度失敗しても、意に介さず頑張るコリーもいます。 当犬舎の繁殖犬のケースですが、先住小型犬が、自分では食べないくせに 譲ってくれないガムが欲しかったメスのコリーが、来客があったわけでは ないのに玄関まで出てゆき、ドアに向かってワンワンと吠えたそうです。 すると、先住犬は慌てて玄関まで出てゆき、コリーは、その隙にガムを ゲットしたそうです。 こういう頭の使い方をするのがコリーです。ドッグスポーツで頑張る犬とは、 ちょっとタイプが違いますね。果たしてどちらが賢いのでしょう。 |
持来欲 | レトリバーほどではありませんが、幼時より、ボールの持来を遊びとして 取り入れると、ダンベル持来やフリスビー持来もできるようになります。 但し、顔に当たって痛い思いをすると、2度としようとしなくなる子もいます。 |
初心者に向くか | いくら従順で物覚えが良いと言っても、犬の飼育の経験が全くない方には、 大型犬のコリーの飼育は覚悟と学習が必要です。 コリーは、全部の犬種の中で最も薬物に過敏で、異変を吠えて知らせる 性質の牧羊犬グループの犬ですから、この犬種の専門的なアドバイスが もらえないペットショップや素人繁殖家からの購入には苦労が伴います。 また、コリーには免疫力が低い個体がよく出る血統とか皮膚病が多発する 血統もありますので、初心者の方が、そういった血統のコリーを手にすると 苦労をするだろうと思います。 必ずしも「優秀なショードッグであること」イコール「健全な遺伝子所有」と いうわけではありませんし、「CHであること」イコール「免疫力が高い」と いうわけではありませんので、家庭犬としてラフコリーを希望する場合は、 ショー・クウォリティよりも健全性に重きを置いた繁殖をしている犬舎から 購入する方が賢明です。 |
■■コリーに不適当な環境■■ |
飼育不適当な人的環境 | 攻撃的な人、飽きっぽい人、情緒の乏しい人、ずさんな人、利己的な人。 つまり根気が必要な躾けに向かないタイプ、近隣ともめやすいタイプです。 引きこもりがちな人(犬に社交性、社会性が身につきにくく、また、 運動不足になりがち)。 |
飼育不適当な居住環境 | アパート、賃貸マンション、借家、近隣が吠える声に対して過敏な場合、 工場地帯、人通りの多い商店街、(転居を余儀なくされたり、犬に ストレスが、たまりやすい環境) ★鎖や紐につないでコリーを飼うおつもりの方には、居住環境がどんなに 良くても、お譲りしていませんので御了承下さい。 |
走り疲れて仲良く休憩するノエル(ブルー・マール)&サリー(セーブル・マール) |
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